6. MathML QandA集

ここでは, 読者から寄せられた質問に対する筆者の個人的な見解を載せています. MathMLで悩んだときの参考にして下さい.

Q1 かけ算を書く場合に, InvisibleTimesという実体参照ではなく, a×bという具合に, "×"を使ってはいけないのか?

A1 "×"を使って書けばいい.

解説

確かに, 4. MathML Tips集でも"×"を使った表記法は紹介していませんし, 一見, W3CのMathML仕様書でも"×"を使った例はありません. しかし, 第1章1節("Chapter1 Introduction"の"1.1 Mathmatics and its Notation")の第2段落で, "×"という記号が出てきており, "×"を使っても問題ないと考えられます. つまり, InvisibleTimesという実体参照は, "×"に変わりというものではなく, "×"を省略する場合のかけ算の表記法に対応するものだと考えられるということです. MathML仕様書は, 一部ではありますが, MathML日本語情報(http://washitake.com/MathML/ver2/)で日本語が公開されているのでこちらも参考にして下さい.

"×"を使ってかけ算を書く場合, 次のようになります.

<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML">
  <mi>a</mi>
  <mo>&times;</mo>
  <mn>b</mn>
</math>
リスト6.1 かけ算("×"を使った場合)
a × b
図6.1 かけ算("×"を使った場合)の表示例

"×"は, timesという実体参照を使って書きます. また, 参考までに, "÷"を使って割り算を書く場合は, 次のようになります.

<math xmlns="http://www.w3.org/1998/Math/MathML">
  <mi>a</mi>
  <mo>&divide;</mo>
  <mn>b</mn>
</math>
リスト6.2 わり算("÷"を使った場合)
a ÷ b
図6.2 わり算("÷"を使った場合)の表示例

"÷"は, divideという実体参照を使って書きます.