40.9三大風水害
40.9風水害復旧記念碑           大野市の佐開橋のたもとにはこの災害の記録などを記した記念碑が建てられています。
 九頭竜川流域で昭和40年9月に連続して発生した洪水は、明治以降の記録に残る洪水のなかで最大規模のものとなりました。九頭竜川流域では、9月8日から18日までの10日間に台風23号、前線による集中豪雨(奥越豪雨)、台風24号と連続して豪雨に見舞われ、記録的な雨量となりました。福井県はこれらの惨禍を「40.9三大風水害」と命名しました。
1) 台風23号(9月8日〜11日)

 9月9日午前9時頃から翌日午前9時までの雨量は、九頭竜川流域の山間部で100mm前後、平野部で30〜50mm程度でした。台風が日本海に抜ける10日午前12時頃から福井県は暴風雨圏内に入りました。その午前11時〜午後1時にかけて、奥越地方山間部で1時間に20〜30mmの強雨がありましたが、午後2時には雨も弱まった。降り始めからの総雨量は、山間部で200mm前後、平野部で50〜100mmでした。

 台風23号の特徴は、風台風であり9月10日午後1時43分に福井で最大瞬間風速42.5m/sを記録し、ジェーン台風時の40.7m/sを更新し、累年第1位となりました。また、奥越地方の山間部では9〜10日の2日間に200mm前後の降雨がありましたが、多雨域が狭く、平野部でも比較的少ない降雨であったことから洪水による被害は少なかったです。この台風による人的被害は死者3名、重軽傷者73名でした。

2) 奥越豪雨(9月13日〜16日)

 前線が台風24号の北上とともに北へ押し上げられ、14日には本州上に停滞したため、いたるところで集中豪雨となりました。

 福井気象レーダによると強雨域は、奥越地方を中心に南北に細長く、岐阜県揖斐川上流から福井県大野郡西谷村まで約50kmに及びました。九頭竜川流域では、奥越地方に集中して激しい降雨が生じました。14日午後9時前後には雷を伴う豪雨となり、その後、15日朝になっても強雨域は変わらず、午後3時を過ぎてから東の方に動き出し、集中豪雨は終息に向かいました。

 13日から15日までの流域最大雨量は、真名川流域の本戸で時間雨量89mm(14日午後8〜9時)、日雨量844mm(14日9時〜15日9時)、総降水量1,044mm(13日9時〜16日9時)を 記録しました。また、午後7時から12までの5時間に400mmと、まさに滝のような雨が連続したのです。

 このような集中豪雨によって、西谷村中島地区では笹生川、雲川、鎌谷川の越水・氾濫に加えて土砂災害によって154世帯中58戸が流失し、86戸が土砂に埋没するという壊滅的な被害を受けました。九頭竜川流域で流出した土砂は約65万5千m3に及び、そのうち約17万5千m3土砂が中島地区に流れ込みました。

九頭竜川流域の被害
死者・行方不明者   11人
重軽傷者   24人
全壊・半壊・流失した家屋   354戸
床上浸水家屋  1,052戸
床下浸水家屋  1,586戸
耕地被害面積  2,136ha
西谷村の被害状況 西谷村の被災状況
 3) 台風24号(9月17〜18日)

 九頭竜川流域では、台風24号が潮岬を通過した午後6時頃から愛知県東部に上陸した午後10時頃まで強雨が続きました。

 九頭竜川の布施田地点と日野川の深谷地点では警戒水位を越え、布施田で計画高水位下約0.1mまで達し、中角地点では計画高水位を突破しました。このため、日野川や九頭竜川下流域の支川で増水し、各地で破堤や氾濫が続出しました。

台風24号がもたらした降雨は、豪雨禍直後の奥越地方では幸いに200mm以下でした。むしろ、九頭竜川下流の河口部付近で降水量が多く、増水と相まって浸水被害が多くでました。また、今立郡今立町大滝では吉崎山が中腹から崩壊し、10人が死亡する大災害が発生しました。その他三方郡三方町、小浜市などでも山崩れによる死者が発生し、9月17日、18日には、武生市、鯖江市、今立町、清水町に災害救助法が発動されました。

九頭竜川流域の被害
死者  11人
重軽傷者  29人
全壊・半壊・流失家屋数  120戸
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参考文献: 九頭竜川流域誌,九頭竜川水系治水百周年記念事業実行委員会