ナホトカ号重油流出事故
 ナホトカ号重油流出事故は、1997年1月2日午前2時40分、島根県隠岐島白島埼灯台北北東約106kmで発生、右舷前部に向波の直撃を受け、激しい衝撃とともに船体前部が破断し、船首部分が脱落しました。同日8時20分頃、船尾部分は沈没しましたが船首部はそのまま漂流し、5日後の1月7日に福井県坂井郡三国町安島沖に座礁しました。その際、船首とともに大量の重油が強い季節風によって流され、島根から山形までの日本海沿岸で重油による被害が発生し、福井県も1月7日に三国町に、1月21日には河野村に漂着するなど県内12市町村すべての沿岸線に重油が押し寄せました。

 漂着した重油は、藻場(魚介類入りの幼稚仔保育場)やイワノリ漁場に大きな被害を与えました。特に、三国町にあるノリ付け場には大量の重油が打ち寄せ、最盛期を迎えていたイワノリの採集が不可能となるとともに、イワノリを採集するために造成された面の窪みおよびコンクリートの割れ目等に重油が入り込み、悲惨な状況となりました。

船首着低の様子 平成9年1月7日撮影 イワノリ場にのった重油
ロシアタンカー油流出事故 災害の記録と教訓 , 福井県県民生活部 消防防災課, 1998 より
流出重油回収量(kl)
敦賀市
4,242.5
美浜町
3,615.5
三国町
2,520.5
三方町
1,769.3
福井市
1,156.4
小浜市
996.5
越前町
705.6
大飯町
480.0
芦原町
425.0
河野村
353.5
高浜町
258.9
越廼村
230.7
重油回収の出動人数(人)
三国町
50,279
福井市
26,551
美浜町
23,730
敦賀市
20,398
越前町
8,262
小浜市
6,604
三方町
5,413
芦原町
5,062
高浜町
4,766
越廼村
3,722
河野村
2,856
大飯町
2,399
重油回収に関するデータ (平成9年3月30日現在・自衛隊含む)
 また、事故後、三国町では重油回収ボランティア本部を設置し、多くのボランティアの力を借りて流出した重油の回収作業にあたりました(上図表参照)。このボランティア活動による応急活動は、1997年1月7日に三国町に重油が漂着して以来三か月近くで終了し、同年の4月1日にボランティア本部は解散しました。
参考文献:ナホトカ号事故から船首回収まで 重油汚染 1.2〜4.20記録集, 福井新聞社, 1997
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