YOSHIDA Lab.

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研究内容

吉田研究室では地震防災に関する研究を行っています.
ハード対策としては「液状化による構造物の被害軽減のため対策技術」の開発,
ソフト対策としては「福井県の地震防災支援のためのソフトウエア」の開発を主な研究テーマとしています.
詳しくは以下をご覧ください.


■丸太杭を用いた小規模構造物の液状化対策技術の開発
木材は空気,水,腐朽菌により腐りますが,地下水位以下の地盤中に打設すれば空気がないため腐りません.この原理を利用し,皮だけを剥いた間伐丸太を地盤に打設し,周辺地盤を密実化することで液状化の発生を抑制する工法を開発しています.当研究室では2007年度より本研究に着手し,2014年度に共同研究を行っている民間企業が実用化に成功しました.しかし,南海トラフ地震のような巨大地震への対応や,丸太杭の維持管理方法の確立など様々な課題が残っており,模型実験や現場実験によって本工法をより高度化することが必要です.

  
      丸太による戸建住宅の液状化対策              丸太による農舎の液状化対策
          (浦安市,2013年)                      (福井市,2016年)

■ジオシンセティックスと砕石を用いた道路盛土の液状化対策技術の開発
巨大地震の発生直後,高速道路に緊急車両が走行できるよう盛土の耐震性を高めることが重要です.本研究は新設や既設の道路盛土の液状化対策として,繊維で作られたジオシンセティックスと砕石で構成した改良体を用いて,盛土の変形を抑制する技術を開発します.
  
         砕石とジオシンセティックスを用いた道路盛土の液状化対策(京田辺市,2017年)

■災害文化伝承のためのウェブサイトの開発
当研究室では,自然災害によって被災した構造物や町並みを防災ランドマークと定義し,災害直後の写真と現在の写真とを対比する手法を用いて,防災意識向上のためのウェブサイトの開発を行っています.2018年の福井地震70周年,そして,2028年の福井地震80周年に向けて,新たなコンテンツづくりとサイトのバージョンアップを行います.
  
        1948年福井地震直後                          現在
       (酒伊ビルと大和デパート)             (三井住友信託銀行福井支店と北陸銀行)

■文化財建造物を対象とした地震防災対策の提案
神社仏閣等の文化財建造物を地震や風水害などの自然災害から守り,歴史的価値のある町並みを後世に継承することは大変重要なことです.本研究は,福井県の文化財建造物の災害履歴と今後の災害危険度を調査し,防災対策を提案します.
  
        2016年熊本地震による              瀧波家住宅の主屋(鯖江市,1887年建築)
     阿蘇神社楼門(1849年建築)の倒壊

■文化財としての城郭石垣の地震防災対策の提案
城の石垣に代表される積石造構造物の耐震性は,古くから石工職人の経験的技法に委ねるところが多く技術的・理論的な根拠が未解明の点が多いです.熊本城のような被害を防止するため,石垣の耐震性に影響を及ぼす要因を明らかにし,経済的かつ効果的な耐震技術を提案します.
  
          勝連城(沖縄県うるま市)                首里城(沖縄県那覇市)

■土木分野における木材資源の利用方法の提案
福井県の森林面積は75%と多く,その豊富な木材資源が治山・砂防施設や道路構造物に使用されていますが,その量は少なく長期耐久性にも課題があります.本研究は木製土木構造物のメンテナンス技術の開発と,新たな利用方法の提案を行います.
  
   道路路体の軟弱地盤対策(小浜市,2011年)         落石防護工の緩衝材(越前町)

■都市の地震動予測と構造部の被害予測
地震による構造物被害を事前に予測することで,発災後の復旧救援活動や今後の耐震化計画に有用な情報を提供することができます.ライフラインのひとつである上水道施設の給水管や配水管は地震による被害を受けやすく,長期の断水によって人々は不自由な生活が続き,地震直後の消火活動にも大きな影響を与えます.本研究は地震時の上水道管路の被害予測を行い,管路の更新費用を予測して今後の耐震化計画を提案します.
  
     地表最大速度の推定結果(福井市)        上水道管路の被害率の推定結果(福井市)